幽玄の森

一般大に通うアマチュアテューバ吹きによる、コンサート感想中心のブログ。たまに聴き比べや音楽について思うことも。

静と動 3/20ラザレフ&日フィル

先月末からブログ更新してなかったのは、飽きたからでもコンサート行かなくなったからでもなく、書く気分になれなかったからです。自分がコンサート楽しんでいていいのかと疑問に思うこともあったので‥‥。落ち着いてきて、久しぶりに書いてみます。

今日はこちらを聴いてきました。
3/20(金)アレクサンドル・ラザレフ指揮
日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番(P:ルージン)
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」

前半のピアコン。ルージンはとても繊細な音を出すピアニストで、それに合わせてか、オケも全体的に落ち着いた表情。ショスタコとなるとどうしても力みがちなものですが、今日の演奏にはそんなところはほとんどなく。一部物足りないと感じる部分もあるにはあったのですが、これだけ自然体でショスタコをやるというのが、日フィルにロシアものが浸透しきったと言う証左なんでしょう。透明感のあるサウンドゆえに、1楽章の皮肉めいた節回しも、2楽章の耽美的な旋律も、すべてすっと身に入ってくる。いい演奏でした。

アンコールはプロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」終楽章。こんなの普通アンコールに持ってきませんよね‥‥。軽快でいて、しかし深みのある不思議な演奏でした。


そして後半、いよいよ11番。大好きなこの曲を実演で聴くのは前年夏の森口先生指揮オーケストラダヴァーイ以来、2度目。あれも大変な名演だったんですが、ラザレフの指揮とあって今日もまた期待は高まるばかり。

冒頭、1音目から、前半とは全く異なるサウンド。日フィルってこんな音だっけ?と。1楽章は全体に一歩一歩踏みしめていくような、落ち着いたテンポ。弦の透明感はもちろんながら、管打楽器の要所を抑えた冴えが目立ちました。特に1楽章のトランペット、ホルン。これは本当に素晴らしく、ホール全体に響く良い音‥‥!

2楽章、冒頭弦のアンサンブルが冴えます。静寂の後に導かれる「血の日曜日」では、打楽器の素晴らしさに圧倒され‥‥。ここでテンポなど大見得を切らず進んでいくので、恐怖が逆にひしひしと伝わってくる‥‥。その後再びの静寂。祈り。

3楽章、冒頭のヴィオラ最弱音から始まり、これも引き締まった演奏。3楽章はこれまでと打って代わり、快速。この楽章をこれだけ劇的なものとして聴いたのは初めてかも。4楽章に向けて少しずつ高まります。

そして4楽章。冒頭から金管が咆哮します。ここは急がす、再び踏み締めるかのように進んでいきました。そしてワルシャワ労働歌、こちらもテンポは変わらず。余計にリアリティーがあります。1楽章同様の静寂が訪れても、緊張感は変わらず。息もつけません。
そして打楽器に導かれクライマックスへ、、、ただただ圧倒的、筆舌しがたい終末。サントリーホール中を大音響が貫く‥‥。
指揮者が手を下ろすまで拍手が起きず、鐘の音が鳴り響いていたのがよかった。

終演後、マエストロ・ラザレフのサイン会に並びました。CDは日フィルとのマラ9。マエストロの「立ったままサインしたい」とのご希望により、なんと楽屋入りできることに。写真こそ撮れませんでしたが、サントリーホールの楽屋はとんでもなく豪華でした。

ちなみに、今回から僕は日フィル金曜東京定期の学生会員になりました。一番好きなオケだけに、これから楽しみです。